活動レポート

コバトンさんぽ#58~さいたま緑の森博物館(入間市)、トラスト2号地(所沢市)~

少しずつ春の訪れを感じる季節に、コバトンは森の中に出かけました。
(令和7年3月18日)

最初にコバトンが向かったのは、「さいたま緑の森博物館(通称:みどり森)」です。
ここは狭山丘陵に残る武蔵野の里山環境を展示としたフィールドミュージアムです。1960~80年代に開発等から狭山丘陵を保全し、緑や生き物とのふれあいの場を残そうという声が高まり開設されました。他の博物館と大きく異なる点として、大きな建物はなく屋外の里山の自然そのものが展示物となっています。

博物館の案内所のすぐ近くにある大谷戸湿地は、アシを刈ったばかりでした(写真左)。でもよく見ると刈り残されているところがあります(写真右)。これは、アシ原で生活するカヤネズミや鳥たちの逃げ場として、あえて刈り残しているものです。

湿地の中を歩いていると、池の中になにやらつぶつぶしたものを見つけました。これはアカガエルの卵です。1匹の母ガエルは一度に1,500個ほどの卵を産みますが、大きくなって産卵ができるようになるまで成長できるのは、このうち1~2匹ほどと言われています。

みどり森ギャラリー

里山観察を終えたコバトンは、多目的室にやってきました。ここには暖かな薪ストーブがあり、みどり森で作られた薪が使われています。
昔から人々は木を切り、薪にして使用していました。切られた木は萌芽(ほうが:新しい芽が出ること)して成長し、新たな森を作っていました。
人々の生活は木、森、自然と密接に関連していたんですね。

里山の中を歩き、多目的室で生き物と人間の関わりについて学んだコバトンは、「生物多様性」についてもっと知りたいと思い、みどり森インタープリター(解説員)の青野さんにインタビューしてみました。

「生物多様性」って最近よく聞くけど、どういうものトン?

青野さん「簡単に言うと、いろいろな動植物が生息できることです。みどり森のような里山では、湿地が好きな生き物が湿地に、林が好きな生き物が林にすめることですね。ただ「みどり」があればいいのではなくて、いろいろな種類の「みどり」があること、多様な環境があることが大事なんです。昔の里山では、人が薪を作るために木を切ったり、稲を育てるために田んぼを作ったり、人が自然に手を入れて自然と関わりながら、いろいろな生き物と相互関係を築いていました。みどり森ではその里山の環境を再現しています。」

現代の生活で生き物のためにできることは何があるトン?

青野さん「現代の人々の暮らしは自然と離れてしまっているので、もう少し近づいてほしいですね。まずは自然の中に足を運んで、自然についての知識を得て、目で見ただけではなく、身をもって体験して、自然って楽しいと思ってもらえたらいいですね。小さい子供なら実際に自然の中で遊んでみたり、もう少し大きくなったら自然とのつながりを学んでほしいです。それが生物多様性の保全につながると思います。今ある自然を後世に残そうと思うことも大事です。例えばボランティアなどで実際に自然に手を入れる体験をするのもよいです。とにかく、自然に触れる、知るのが生物多様性の第一歩。ただ山に行くだけでなく、みどり森のような施設でインタープリターのガイドを聞くなど活用しながら楽しんでもらいたいです。」

みどり森では生物多様性のためにどんなことをしているトン?

青野さん「みどり森でのすべての活動が生物多様性につながっています。田んぼを整えることはアカガエルの産卵場となり、雑木林で木を切ると開けて草地となったところにバッタなどが住めます。落ち葉を集めればその中でカブトムシの幼虫が育ちます。こうした里山を利用する人間の活動は、生物にとって多様な環境や生きる場所の提供に繋がっています。昔は人の生活は自然の一部でした。農作業をすればそこはカエルの住みやすい環境になるなど、生き物が生きやすい環境が自然にできていました。里山が生活の一部ではなくなった現代では、それを意識してやらなければならなくなってしまったのが課題ですね。そこで私たちは、里山の手入れ作業を体験するいろいろなイベントを行い、里山環境の保全につなげています。」

インタープリター(解説員)はどんなことをしているトン?

青野さん「週末のイベントの準備をしたり、動植物の調査をしたり、施設の管理を行っています。また、『人の営みによって里山は作られ、多様な生き物がいきづく場所になっている』という施設のメッセージをどう伝えていくかを意識しています。インタープリターが話すだけではなく、利用者の皆様が体験を通してもっと知りたいと思ってもらえることが大切だと感じています。」

みどり森では、インタープリター(解説員)のガイド付き観察会などのイベントを開催しています。大人も子供も楽しめるイベントが盛りだくさんです! イベント情報はこちら

みどり森では、施設内で適切な量の木を伐採し、薪に使用しています。昔からこの地域ではこのように木を切って使用することで、森林の生まれ変わりのサイクルを促進していました。

ちなみに、令和6年12月に審査が行われて決定した「第25回さいたま緑のトラスト写真・動画コンクール」入賞作品は、みどり自然課のウェブページから見られるので、確認してみてくださいね✨

次にコバトンが向かったのは、狭山丘陵・雑魚入樹林地(緑のトラスト保全第2号地)です。
狭山丘陵・雑魚入樹林地は、西武狭山線西武球場前駅から1km、徒歩約15分のところにあり、狭山丘陵東部に位置しています。ヤマツツジ、シュンラン、ヤマユリ等の花が咲く美しい森で、湧水による湿地は多様な動植物の生息環境となっています。

ちなみに、令和6年12月に審査が行われて決定した「第25回さいたま緑のトラスト写真・動画コンクール」入賞作品は、みどり自然課のウェブページから見られるので、確認してみてくださいね✨

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団体名
活動日
2025318(火曜日)